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私の人生 回想の譜 続編 ―藤沢商工会議所会頭の時代 田中正明

藤沢宿・遊行の盆10周年を迎えて

 藤沢宿・遊行の盆は、2005年(平成17年)4月に地域資源活用事業としての考えからスタートした。

 この事業の趣旨は、長い間藤沢市のJR藤沢駅周辺地域が湘南の中核都市の中心地として発展してきたが、近年郊外型大型店等により相対的に地位が低下の傾向となり、再び中心市街地としての活気を取り戻す対応策が求められた。

 そこで、藤沢駅北口周辺地区整備計画が持ち上がり、この計画をきっかけに魅力ある商業集積を再構築し、あわせ観光資源などの拠点づくりを図るとの観点から、藤沢市のルーツとして発展してきた遊行寺の文化・観光資源という地域資源を活かせないかとの発想が企画のスタートとなった。


遊行の盆

 一つは歴史文化の調査として、全国の盆踊りの原点とされる「念仏踊り」のルーツを探り、全国の有名盆踊りの招致活動による「盆踊り祭り」の開催の計画案が策定された。

 これが「藤沢宿・遊行の盆」のイベントに繋がった。


 二つ目は施設調査を行い、遊行寺境内の庭園・売店・休憩所・トイレ等の整備による観光スポット化を図る計画案の策定であった。

 これが、境内のトイレの新設と派生的に売店・休憩所の整備に繋がった。これらの計画案の実施を実行に移しながら努力に努力を重ね、11年の歳月を経て2015年(平成27年)に10回目のイベントを迎えることになった。


 さて遊行の盆は2005年に藤沢商工会議所が事業主体となって、地域資源活用事業推進委員会を設置、私が副会頭の立場で委員長に委嘱され、実際は金井正志郎専務理事が推進役となって、全国盆踊りのルーツと云われる時宗(時宗総本山遊行寺、正式名称は藤沢山清浄光寺)開祖一遍上人の念仏踊りを地域資源として、新しい藤沢版盆踊りの創作に取りかかった。

 事業化するにあたってまず始めに、至近の東京佃島の盆踊りをターゲットに、7月に全委員で視察し、地域を挙げての盆踊りが如何なるものであるかを体験した。

 次に全国で著名な盆踊りの地域を各委員で手分けして訪問、情報収集と調査検討をすることになった。8月のお盆の時期に、盆踊り招致活動として、私と金井正志郎専務、井上観光協会専務、古谷藤沢市産業振興課課長と、岡山県笠岡市の白石踊り、島根県津和野の鷺舞踊り、一旦帰郷して今度は私と金井専務に増田隆之現事業委員長、小笠原次男現会場設営部会長、藤沢版盆踊りの創作をお願いする白石征氏と、秋田県越後湯沢の羽後町の西馬音内盆踊り、鹿角の花輪ばやしを、他の委員は、佐渡のおけさ踊りや岐阜県の郡上踊り等、全国の著名な重要民族無形文化財に指定されている盆踊りを視察した。

 年が変わり2月に、富山県八尾のおわら風の盆の視察を行い、秋田県羽後町の西馬音内盆踊りと合同招致の可能性を見いだした。この視察を通じて、招致折衝可能性の踊りとして猟師かんこ踊り(三重県)、郡上おどり(岐阜県)、和合の念仏踊り(長野県)、白石踊り(岡山県)、津和野踊り(島根県)、西馬音内盆踊り(秋田県)、正調花笠踊り(山形県)、おわら風の盆(富山県)が候補となった。

 2005年(平成17年)9月23日(秋分の日)に、遊行寺境内で(仮称)藤沢宿と遊行の盆、地域資源活用事業プレイベントのタイトルの下、第一部「市内民謡団体による踊りの披露」、第二部「遊行寺踊り念仏の披露ほか」、第三部「みんなで踊ろう藤沢シャンシャン踊り(飛び入り参加歓迎)」 を開催した。主催は藤沢商工会議所地域資源活用事業推進委員会となった。この時の趣意書は次に掲載する。

 「藤沢商工会議所では、地域の文化資源・観光資源を活用して本市商業並びに観光の振興を図ることを目的とした地域資源活用事業として、来年秋に盆踊りの原点である時宗総本山遊行寺において、全国の有名な盆踊りを集めたイベントを開催し、盆踊りの原点発祥の地「藤沢宿」を全国にアピールしていくことを目指しております。

 今回、来年の本イベントに向けたPRを兼ねて市内民謡団体によります市民盆踊り大会などのプレイベントを開催します」


 こうして藤沢宿遊行の盆がスタートした。組織は、会長が塩田豊永商工会議所会頭、事務局長金井正志郎専務理事に担当者依田典明氏、運営委員会委員長田中正明副会頭、総務部会長増田隆之氏、会場設営部会長小笠原次男氏、踊り部会長村上徳義氏に副部会長山口正直氏、榊まい氏、西貝和男氏、企画担当日比政彦氏が就任、その後2011年第6回から私が藤沢商工会議所会頭に就任した関係から事業運営委員長から会長に、増田隆之氏が後任の事業運営委員長に就任、その他は変わらずに第10回記念開催に至った。

藤沢市独自の盆踊りの創作については、専門家に依頼した。創作にあたっては、寺山修司の関係者で編集者の白石征氏があたり、作曲は演劇実験室・万有引力のJ・Aシーザー氏と飛沫聖氏に、踊りは山口正直氏他民舞民謡団体が係わり6つの踊りの型を完成した。

2006年(平成18年)7月22日(土)遊行寺境内で西富ばやしに始まり、第一部シンポジウム、テーマ「盆踊りのルーツを探る」講演者永六輔氏、第二部遊行寺の踊り念仏と市内のささら踊り、第三部藤沢の新しい創作踊り、第四部富山県越中おわら風の盆と秋田県羽後町の西馬音内盆踊り、フィナーレにみんなで踊る創作おどりを盛況裏に実施、翌23日(日)は秩父の宮記念体育館を会場に、三隅治雄氏の盆踊りの話から始まり、第一部遊行寺の踊り念仏と市内ささら踊り、第二部藤沢の新しい創作踊り、第三部富山県の越中おわら風の盆と秋田県羽後町の西馬音内盆踊り、フィナーレにみんなで踊る創作踊りで全てのイベントが終了出来た。その後は、遊行の盆の創作踊りの普及活動を兼ねて遊行通り4丁目で遊行ばやしコンテストを採用、年毎に市民に普及し活況を呈してきた。

 こうして、今年2015年(平成27年)7月24日(金)、25日(土)、26日(日)に10周年を迎える事ができた。

 24日(金)は、前夜祭として藤沢駅南口ファミリー通り商店街で、郡上おどりを本場岐阜県から招致し、市民参加とともに郡上踊りを実施した。翌25日(土)と26日(日)は、藤沢宿・遊行の盆10周年記念講演「盆踊りフェスティバルin藤沢」のタイトルで、藤沢商工会館ミナパーク6階で開催した。

25日は、シンポジウム「盆踊りのルーツを探る」司会藤沢FM放送宮川浩子氏、出演者は湘南盆踊り研究会柳田尚也氏、金井正志郎専務理事、増田隆之事業運営委員長で実施した。それから記念公演として、跡部の踊り念仏、遠藤ささら踊り、遊行おどり、高円寺の阿波おどり、西馬音内盆踊り、郡上おどり、越中おわらを披露した。翌26日も記念公演として同じ内容の踊りを開催、両日ともに盛況であった。

 また、恒例の遊行ばやしコンテストは、遊行通り4丁目で24連の団体が参加して衣装華やかな開催となった。また、今年は特別に新設道路となった藤沢商工会館ミナパーク前の新設通り線道路上で、西馬音内盆踊り、高円寺阿波おどり、越中おわら風の盆、郡上おどりを次々に披露し、最後に遊行ばやしコンテストの審査発表をもって当日の行事全てを終了した。

 26日は、遊行寺境内での開催が実施された。西富ばやしに始まり、踊り念仏、きやり、前日の遊行ばやしコンテストの表彰式、そして市民大盆踊り大会へと進んだ。今年も招致した西馬音内盆踊りと東京高円寺の阿波おどりが花を添え、大勢の来場者を迎えることが出来た。また、サンパール広場では、藤沢青年会議所の協力により、共催事業として「湘南藤沢たから市」が実施された。

 この10年間を振り返ると、藤沢宿・遊行の盆のスタート時点では、市民が自発的に踊りに参加してくれる雰囲気ではなかったが、長い歳月にわたる関係者各位の普及活動の努力と、参加団体によるコンテストの効果、事業委員会の弛まぬ創意・工夫等により、24日のファミリー通り、25日の藤沢商工会館ミナパーク前、26日の遊行寺境内と、全ての会場で積極的な市民参加の踊りの風景が現出し、藤沢宿・遊行の盆が藤沢市の夏の大きな行事に成長した。これに限りない喜びを感じる。

 

惚太郎